こんにちは、HIKOです。
順調なはずの定期受診で出血が見つかった。
便秘だと思っていたら、張り止めが出され自宅安静になった。
なんて事が切迫流産ではあります。
切迫流産とは何!?初めて聞いた!って方向けの記事です。
この記事を読むことで、切迫流産の原因や症状、受診のタイミング、診察内容、薬や手術の事、今後の経過について幅広く理解できます。
安静という先の見えない不安に、何もしないのも、不安に立ち向かうのもあなた次第です。
知らない事を知る事は、漠然とした不安に対処できる自分になれます。
この記事を読んで、切迫流産の不安にも対処できる自分になりませんか?
この記事は切迫流産について知らない初心者向けの記事なので、詳しい方には物足りない内容となっています。
切迫流産とは?原因は何?
切迫流産とは、流産の一歩手前の危険な状態ですが、今後の経過次第では出産も可能な状態です。
流産は妊婦さんの約15%(妊婦さんが10人いれば、1〜2人は流産になる確率)が経験する程、何も特別な状態ではありません。
流産の主な原因は以下のとおりです。
流産の主な原因
- 胎児の染色体異常
- 母体の疾患
- 感染性ウイルス
- 性器の異常
- 催奇形因子など
切迫流産の原因は妊娠週数により、胎児側の原因と、母体側の原因に分かれます。
切迫流産とは?胎児側の原因?
流産は妊娠12週未満に最も多く起こります。
この時期に起こる流産は、染色体異常などの胎児が原因による流産です。
逆に言えば、この流産になりやすい時期を、妊娠が継続している状態で乗り切れるかが、1つの山場となります。
切迫流産の原因!?転座とは?
転座は、遺伝情報を伝える染色体の一部が欠損したり、他の染色体と結合、融合している染色体の事です。
染色体に異常(転座)があっても、自覚のない場合と、障害を伴う場合があります。
流産を繰り返すから調べてみると、『転座があった…。』なって事があります。
染色体異常は親に転座があるとおこりますが、高齢妊娠でも染色体異常のリスクは高くなります。
切迫流産とは?母体が原因?
妊娠12週以降で起こる流産は、母体が原因となる流産です。
例えば、妊娠前から以下の疾患があると切迫流産のリスクを高めます。
切迫流産のリスクを高める病気
- 糖尿病
- 重度の高血圧
- 腎臓病
- 甲状腺の慢性疾患
この他にも妊娠中に生産されるホルモン(hCG)が不足する事で胎児が成長せず切迫流産になります。
妊娠中は感染症にも注意が必要です。
サイトメガロウイルスやマイコプラズマなどのウイルス感染は切迫流産のリスクを高めます。
女性の2割で発生する子宮筋腫や子宮の異常、子宮頸部の強度不足、胎盤の異常も妊娠継続を妨げる要因となります。
日常の身近な行為にも流産のリスクは潜んでいます。
日常的な切迫流産のリスク
- 過度のカフェイン摂取
- アルコールの摂取
- 喫煙
- 薬(薬物)の服用
日常的なリスクは切迫流産のリスクを高めるだけでなく、赤ちゃんの奇形や障害を招くリスクもあります。
切迫流産とは?どんな症状?
切迫流産の症状には膣からの出血や腹痛、お腹の張りや痙攣などの症状があります。
出血量が多かったり、痛みが強かったりすると流産になる可能性は高くなりますが、100%流産する訳ではありません。
症状として多い出血は、出血箇所や出血してからの時間経過で、血の色や状態は異なります。
また痛みやお腹の張りもお腹の片側や両側、または中間や下腹部など様々な箇所で起こります。
症状としては一般的では無いものの、腰の痛みやお尻、性器の痛みを感じる場合もあります。
出血などの症状が続いている場合、『いつもとは違う!』といった変化に気づける事が受診のタイミングを探るうえで重要です。
症状がいつから、どの場所で、どの程度の頻度や強さで起こっているのかをしっかり把握しておく事で、受診の判断や症状を正確に伝えることにも役立ちます。
切迫流産とは?受診タイミングは?
妊娠中に出血や腹痛などがあれば、かかりつけの病院で見てもらう必要があります。
掛かりつけの医療機関がない場合は、近くの産婦人科や夜間救急での速やかな受診が必要です。
以下に受診の目安を示しています。
病院受診の目安
- 1時間に何度もナプキンを変える必要があるような出血がある場合
- 痙攣がある場合
- 発熱や嘔気・嘔吐がある場合
- 以前に子宮外妊娠や子宮の手術、人工中絶を受けたことのある方の出血の場合
受診すべきかどうか判断できない場合や、診療可能な医療機関が分からない場合は#7119(固定電話・携帯からも可能) でアドバイスがもらえます。緊急時は119番に連絡しましょう。
切迫流産とは?どんな診察内容?
切迫流産の診察では、専門の医師が質問や内診、採血や採尿を行い母子の状態を判断します。
切迫流産での医師の質問例
- 妊娠何週目ですか?
(妊娠週数が分かると原因や対応、胎児の状態がわかる。) - 最終月経はいつですか?
(最終月経から現在妊娠何週目かが分かる) - 今まで妊娠したことはありますか?
- 子供さんは何人いますか?
- 今までに流産の経験はありますか?ある場合は何回ですか?(習慣性流産の可能性)
- 子宮外妊娠と診断されたことはありますか?
(子宮外妊娠は繰り返す場合がある) - どんな方法の避妊をしていましたか?
(子宮内避妊具は不正出血や過多月経、子宮外妊娠を起こす可能性がある。) - 超音波検査(エコー検査)で赤ちゃんが正しい位置にあることが確認できていますか?
- 妊娠に影響を与える疾患などがありますか?
(糖尿病や高血圧、腎臓病は切迫流産のリスクを高くします。) - 現在飲んでいる薬はありますか?
(妊娠中の薬の服用や薬物の乱用は胎児に奇形や障害を起こさせる要因となる。)
切迫流産とは?どんな診察?
切迫流産の診察も妊娠中の診察と大きな違いはありません。
内診では医師の視診や触診(双合診)、または経腟プローブという超音波検査器具を使い赤ちゃんや子宮の状態を観察します。
切迫流産とは?内診でわかること
- 子宮頸管の長さや状態(軟化)から出産時期やお産の準備がどれくらい整っているのかがわかる。
またを観察することで感染症の有無を確認をしています。
- 出血があれば出血跡がわかる。
- 膣や粘膜、おりものの状態から感染症がわかる。
- 子宮口が開いていればすでに流産しまった事もわかる。
切迫流産とは?どんな薬を使う?
妊娠中の服薬は赤ちゃんに悪影響がある為、使用には注意が必要です。
市販の風邪薬でも奇形のリスクがあります。
特に生理痛で日頃から痛み止めを服用している方は、気づかず妊娠、薬を服用していたという事の無いように注意が必要です。
市販の痛み止め
- ロキソニンS(ロキソプロフェン)
- イブ〇〇(イブプロフェン)
- バファリン(アスピリン)
妊娠中でも服用できるのは医師により処方された薬です。
例えば、発熱時に処方されるカロナール(アセトアミノフェン)は妊娠中でも安全に服用できます。
切迫流産とは?どんな治療?
切迫流産の原因は妊娠週数により胎児側と、母体側の原因に分かれます。
胎児側の原因での治療
胎児側の原因では、科学的根拠が立証された治療法はありません。
その為、運動や仕事をセーブし、安静が主な対応となります。(医師によっては張り止めや止血剤など積極的な治療をする場合もあります。)
ただ安静にしていても治る訳ではありません。要は結果待ちの状態に過ぎないのです。
母体側の原因での治療
反対に母体が原因の場合はどうかというと、原因により様々な治療があります。
ただ治療を行うことで、流産や早産、胎児に障害のリスクが高いと判断される場合は、病気の治療は妊娠中には行われません。
この辺の判断は赤ちゃんに対する治療の影響と病気を放置しておくことによる母体への影響、本人や家族の意向を総合的に判断し対応が決定されます。
切迫流産とは?どんな手術方法?
切迫流産で手術となるのは、子宮外妊娠や流産となった場合です。
子宮外妊娠から手術となる場合
子宮外妊娠では全てが手術の対象では無いものの、卵管破裂や極度の癒着などがある場合に手術が選択されます。
着床部位、腹腔内部の状態、緊急性、今後のライフプランにより卵管線状切開術や卵管切除術が選択されます。
流産から手術となる場合
流産には手術が必要なものと、そうでないものがあります。
不完全流産など子宮内に胎児や胎盤の元となる物が残ってしまい、自然な排出が望めない場合は子宮内除去術(子宮内搔把術)という方法で子宮内容物を取り除く手術を行います。
ただ通常の手術の様にお腹を切って開く(開腹)訳でなく、ラミナリア桿(かん)という器具で子宮口を開き、開いた子宮口から胎盤鉗子やキューレットを挿入し除去を行います。
<!--
-->子宮内除去術では一緒に起こる合併症として子宮穿孔(子宮に穴があく事)や出血、感染症が起こる可能性があります。
子宮穿孔によりお腹の中で出血が認められた場合は開腹手術や腹腔鏡手術で穴の空いている箇所を修復します。
切迫流産とは?経過観察は?
切迫流産では『(自宅でor入院して)安静にしてください』となる事がよくあります。
安静の重要度は妊娠週数によっても違いますが、安静にしていたからといって流産を防ぐ事は残念ながらできません。
妊娠の継続には一定量のhCGと胎嚢、胎児心拍の確認が必要不可欠です。
<!--
-->妊娠初期の切迫流産で上記が確認ができない場合、確認ができる時期まで経過観察となります。
既にhCGと胎嚢、胎児心拍が確認できている場合は切迫流産の原因にアプローチします。
治療出来るものは治療し、生活習慣など改善できる問題は改善指導となります。
切迫流産の症状(出血や痙攣、痛みなど)が一時的に緩和、消失する事があっても出産まで再発を繰り返す場合もあるので注意が必要です。
こんな症状があれば注意!
- 痛みの増強
- 痙攣が悪化
- 不正出血が増える
- 発熱
など、上記の症状が見られれば速やかにかかりつけの医療機関に相談しましょう。
切迫流産中のSEX
切迫流産中のセックスは厳禁です。
切迫流産の症状は繰り返す場合も多いので、症状が無くなっても1週間以上完全になくなるまではセックスは控えましょう。
不安な場合は掛かりつけの医師に相談しましょう。
切迫流産とは?予防方法はある?
切迫流産を予防したり、流産を防ぐ方法は残念ながらありません。
少しでも流産のリスクを減らしたい方は以下の点に注意してください。
- アルコールは摂取しない
- インフルエンザや風疹の予防接種を受けておく。
- 感染症の治療はしておく。
- ストレスを溜めすぎない。
- 高血圧や糖尿病はしっかりコントロール出来るようにしておく。
- コーヒーなどカフェイン量には注意する。
- 体を冷やしすぎない。
- 妊娠を考えている時は風邪薬でも服用には注意する。
- 妊娠前から葉酸を摂取する。
切迫流産になった時の予後
妊婦の約15%は流産を経験していて、その流産の9割は胎児側の原因により、妊娠12週まで起こっています。
妊娠初期は赤ちゃんも不安定な状態にある為、不正出血が起こりやすく、それに伴い切迫流産と診断される場合があります。
実際、切迫流産の半数は出血が止まり、妊娠を継続しています。
また出血を繰り返しながらも無事出産されている方も多くいます。
切迫流産は診断された時点でその出血が染色体異常(胎児側の原因)なのか、妊娠初期にありがちな出血なのか判断できません。
その為に赤ちゃんが元気に育っているかの経過観察が必要となります。
妊娠週数によりチェック項目は違いますが、流産になる確率が高い妊娠12週を妊娠継続状態で経過できるかが1つの山場です。
妊娠12週以降は切迫早産の対応となります。
胎児側の原因から母体側の原因になる為、改善すべき問題を改善しながら少しでも長くお腹の中にいれるよう安静が最重要事項となります。